『GUITAR WORKSHOP Vol.1』を聴く|フュージョン初期の名盤
1977年11月に発売された『GUITAR WORKSHOP Vol.1』は、森園勝敏、大村憲司、渡辺香津美、山岸潤史という4人のギタリストをフィーチャーした、フュージョンブーム初期の名盤。
『GUITAR WORKSHOP』シリーズはこのあと、Vol.2、Vol.3、in L.A.など続いていきます。
収録されているのはギタリスト各2曲の8曲と、4人で演奏した1曲の計9曲。
渡辺香津美が参加している『GUITAR WORKSHOP』はこの「Vol.1」だけですね。
1.Day Dream / 森園勝敏
2.Left Handed Woman / 大村憲司
3.Neptune / 渡辺香津美
4.Mornin’ Bright / 山岸潤史
5.Gentle Afternoon / 渡辺香津美
6.Groovin’ / 山岸潤史
7.When a man loves a woman / 大村憲司
8.Out of Blue / 森園勝敏
9.I’m In You / 憲司、香津美、勝敏&潤史
筆者は中学生(1979年頃)のときに、親友の家でレコードで初めて聴きました。
改めてCD版を聴きながら振り返って背景なども調べてみると、色々な発見があります。
『GUITAR WORKSHOP Vol.1』は、
>e-onkyo music
>amazon music unlimited
>レコチョク
等で聴くことが出来ます。
- 1. 『GUITAR WORKSHOP Vol.1』とは?
- 2. 『GUITAR WORKSHOP Vol.1』の曲目・演奏
- 2.1. Day Dream (Arr. 森園勝敏)|4:42
- 2.2. Left Handed Woman (Arr. 大村憲司)|6:53
- 2.3. Neptune (Arr. 渡辺香津美)|4:17
- 2.4. Mornin’ Bright (Arr. 山岸潤史, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|6:37
- 2.5. Gentle Afternoon (Arr. 渡辺香津美)|4:06
- 2.6. Groovin’ (Arr. 山岸潤史, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|6:12
- 2.7. When a man loves a woman (Arr. 大村憲司)|5:40
- 2.8. Out of Blue(Arr. 森園勝敏, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|3:33
- 2.9. I’m In You (Arr. 渡辺香津美)|6:00
- 3. まとめ
『GUITAR WORKSHOP Vol.1』とは?
『GUITAR WORKSHOP Vol.1』は4人のギタリストをメインにフィーチャーしたオムニバスアルバム。
打ち込みは一切ないバンド演奏で、ギター以外も当時を代表するプレイヤーです。
CDの収録時間は48分31秒。
当時、レコードを録音するカセットテープの主流は46分テープですが、これに収まっていません!
60分テープに録音したんだっけなー?
ギタリスト
森園勝敏(当時23歳)
四人囃子を脱退し、PRISMに加入していた頃の森園勝敏。
演奏メンバーは当時のPRISM(和田アキラと伊藤幸毅を除く)です。
使用しているギターはFender “Stratocaster"。
ライナーノーツの
曲紹介には"Stratcaster"
楽器紹介には"Startcaster"
って書いてあります。
大村憲司(当時28歳)
1998年11月に49歳と若くしてこの世を去った大村憲司。
使用しているギターはFender “Telecaster"
1973年「赤い鳥」脱退後に村上”ポンタ”秀一、高水健司たちと活動。
1976年に結成した「吉田美奈子バンド」のメンバーを中心とした演奏です。
※村上”ポンタ”秀一も2021年3月に他界しました。
坂本龍一(キーボード)のYMO参加や初のソロアルバム『千のナイフ』発売はこの翌1978年。
渡辺香津美との『KYLIN』、格闘技セッション『サマー・ナーヴス』が1979年なので、彼が超有名になる前の演奏ですね。
このアルバムギタリスト4人の中で、この人の演奏を生で見たことがないのが残念です。
渡辺香津美(当時23歳)
17歳(1971年)でレコードデビューし、既に数枚のソロアルバムを発売していた天才ギタリスト「渡辺香津美」。
ソロアルバム「OLIVE’S STEP(1977)」が発売される少し前の演奏で、バックはこれに参加しているメンバーです。
井野信義は渡辺香津美の高校の先輩みたいですね。
山岸潤史(当時24歳)
1972年結成のウェストロード・ブルースバンド、1975年ソーバッドレビューを経て、ソロアルバムを発表する前の山岸潤史です。
筆者はチキンシャックのライブ等で何度か彼のLIVE演奏を見たことがあります。
このアルバムでの演奏メンバーは「金子マリ&バックスバニー」+「ホーンスペクトラム」+山下達郎といった面々。
このレコーディングのおよそ2カ月前(1977年5月5日)にジョニー・吉永のファーストソロアルバム「ジョニー(1977)」が発売され、それに山岸潤史、鳴瀬喜博、国府輝幸が参加しています。
何でドラムがジョニーなの?
って調べてたら、もう10年前に亡くなってたなんて知らなかった・・・
ジョニーはこの翌年に「ジョニー・ルイス&チャー」に参加。
山下達郎は2作目のソロアルバム「SPACY」を発売した少し後です。
スタッフ
Directed by 星加 哲
Producer:高垣 健
Mixer:高田 英男
Mastering Engineer:野見山 静雄
Recording Studio:ビクター・スタジオ、スタジオA(7/23〜8/27 ’77)
Photographer:大島直行
Art Direction and Design:渋谷 則夫
Carpentry:NOREY SHIBUYA★BOOGIE WOOGIE STUDIO★ジョニー吉永:Courtesy of KING Records
筆者所有CD版ライナーノーツより
成瀬善博:Courtesy of CBS/SONY
山下達郎:Courtesy of RVC Records
レコーディングは1977年7月23日〜8月27日に青山のビクター・スタジオ。
山岸バンドに参加した3名に感謝! となっています。
『GUITAR WORKSHOP Vol.2 LIVE』でも演奏されたのは2曲
このアルバムが発売された翌年の1978年10月に、六本木ピットインで2日間行われた「GUITAR WORKSHOP Vol.2 LIVE」。
当時発売された「GUITAR WORKSHOP Vol.2(1978)」に、Vol.1の曲は収録されませんでした。
でも実際のLIVEでは森園勝敏の2曲が演奏されていて、2000年代に発売された次のアルバムで聴くことが出来ます。
・FIRST NIGHT GUITAR WORKSHOP VOL.2 LIVE(2003):入手困難
・SECOND NIGHT GUITAR WORKSHOP VOL.2 LIVE(2003):入手困難
・Out-takes〜 GUITAR WORKSHOP VOL.2 LIVE(2018)
『GUITAR WORKSHOP Vol.1』の曲目・演奏
Day Dream (Arr. 森園勝敏)|4:42
E.Guitar:森園勝敏(Fender Strarcaster)
Drums:リカ鈴木
E.Bass:ケン渡辺
E.pf, A.pf:ビック久米
Percussion:浜口茂外也作曲:森園勝敏
CD版ライナーノーツより
森園勝敏の代表曲で、2021年発売されたインストベスト盤のタイトルにもなっています。
More Out-takes〜GUITAR WORKSHOP VOL.2 LIVE(2019)
SECOND THOUGHTS/SECOND MOVE(1978):PRISM
にも収録されてますが、メロディーが少し違っています。
1977 Live at Sugino Kodo(2004):PRISM
はこのアルバムの演奏に近いですね。
筆者は「GUITAR WORKSHOP Vol.1」版が好きです。
インストベスト盤には、
・「GUITAR WORKSHOP VOL.1」バージョン
・PRISMのライヴ・バージョン
の2つが収録されています。
More Out-takesでは、Saxソロの後のテーマに戻るところでBassが間違えてる?ってところがLive感ありあり。
Left Handed Woman (Arr. 大村憲司)|6:53
A.Guitar, E.Guitar:大村憲司(Fender Telecaster)
Drums:村上秀一
E.Bass:高水健司
E.pf, solina:坂本龍一
Percussion:浜口茂外也作曲:大村憲司
筆者所有CD版ライナーノーツより
1976年に結成した「吉田美奈子バンド」のメンバーを中心に演奏。
村上秀一のクレジットに、”ポンタ”が入っていません!
この曲は好きでよく聞いていましたが、キーボードが教授(坂本龍一)だったとは・・・
こんなエレぴを弾くとは知りませんでした。
アコギでのメロディ、ソロはテレキャスターのクリアな音で始まり途中から少し歪ませて。
多彩なバックの演奏も素晴らしいですね。
この曲は、大村の初ソロアルバム「First Step(1978)」とセカンドアルバム「Kenji-Shock(1978)」にも収録されましたが、曲名は「Left–Handed Woman」と”-(ハイフン)”入りに。
どちらもエレキギターの演奏で、少しアップテンポと味付けが変わっています。
Neptune (Arr. 渡辺香津美)|4:17
E.Guitar:渡辺香津美(Alenbic Short Scale)
Drums:倉田在秀
E.Bass:井野信義
E.pf, Clavinet:松本博
Percussion:横山達司作曲:渡辺香津美
筆者所有CD版ライナーノーツより
フェイザーがかかったカッティングから始まる軽快なナンバー。
翌1978年に発売された、KAZUMI & THE GENTLE THOUGHT「MERMAID BOULEVARD」にも収録されました。
Mornin’ Bright (Arr. 山岸潤史, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|6:37
E.Guitar:山岸潤史(Gibson Les Paul)
Drums:ジョニー・吉永
E.Bass:鳴瀬善博
E.pf, A.pf, Organ, Percussion:国府輝幸
Horns:ホーンスペクトラム
T.Sax, S.Sax 中村ストロボテツ
T.Pet, Flugel 兼崎ドンペイ順一
T.Pet, T.bone 新田ヨロシクイチロー作曲:山岸潤史
筆者所有CD版ライナーノーツより
前半のメロディーは少し”けだるい感じ”ですが、後半のギターソロのあたりからは”すがすがしい朝!”って感じですね。
この曲はこのアルバムにしか収録されていないようです。
Gentle Afternoon (Arr. 渡辺香津美)|4:06
E.Guitar:渡辺香津美(Alenbic Short Scale)
Drums:倉田在秀
E.Bass:井野信義
E.pf, Clavinet:松本博
Percussion:横山達司作曲:渡辺香津美
筆者所有CD版ライナーノーツより
左側から聞こえるギターのカッティングは、本人が弾いてるんですね。
この曲も「MERMAID BOULEVARD」に収録されています。
Groovin’ (Arr. 山岸潤史, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|6:12
E.Guitar:山岸潤史(Gibson Les Paul, Fender Stratcaster)
Drums:ジョニー・吉永
E.Bass:鳴瀬善博
A.pf, Organ:国府輝幸
Chorus:山下達郎
Horns:ホーンスペクトラム
T.Sax 中村ストロボテツ
T.Pet 兼崎ドンペイ順一
T.Pet, T.bone 新田ヨロシクイチロー作曲:F.キャバリエ/E.ブリガティ
筆者所有CD版ライナーノーツより
1967年の全米ナンバーワン・ヒット「Groovin’(ヤング・ラスカルズ)」のカバー。
コーラスに参加している山下達郎も自身のソロアルバム「ARTISAN(1991)」に収録しています。
ギターのカッティングから始まる軽快なナンバーです。
When a man loves a woman (Arr. 大村憲司)|5:40
E.Guitar:大村憲司(Fender Telecaster)
Drums:村上秀一
E.Bass:高水健司
E.pf, A.pf:坂本龍一作曲:A.ライト/C.ルイス
筆者所有CD版ライナーノーツより
男が女を愛する時
1966年の全米ナンバーワン・ヒット「When a man loves a woman(パーシー・スレッジ)」カバー。
Out of Blue(Arr. 森園勝敏, Horn Arr. ホーンスペクトラム)|3:33
E.Guitar:森園勝敏(Fender Strarcaster)
Drums:リカ鈴木
E.Bass:ケン渡辺
E.pf, A.pf:ビック久米
Horns:ホーンスペクトラム
T.Sax 中村ストロボテツ
T.Pet 兼崎ドンペイ順一
T.bone 新田ヨロシクイチロー作曲:森園勝敏
筆者所有CD版ライナーノーツより
「Day Dream」と同じメンバーでの演奏。
このアルバムのクレジットでは「作曲:森園勝敏」となっていますが、和田アキラがGutar magazineのインタビューでが自分が作曲したと語っています。
PRISMのシングル「LOVE ME」のB面に収録され、当時のアルバム「PRISM」には収録されませんでしたが、再発されたCDには収録されていますね。
レコチョクで購入&ちょっと聴きができます。
I’m In You (Arr. 渡辺香津美)|6:00
E.Guitar:
渡辺香津美(Alenbic Short Scale)
山岸潤史(Gibson Les Paul)
森園勝敏(Fender Strarcaster)
大村憲司(Gibson Birdland)
Drums:村上秀一
E.Bass:高水健司作曲:P.フランプトン
筆者所有CD版ライナーノーツより
ギター4人ということで、キーボードなしの演奏。
大村憲司じゃギターをGibsonに変えています。
曲は同1977年にヒットした、ピーターフランプトンのI’m In You。
今、聴き比べていますが、この様なアレンジで聴かせる渡辺香津美はやっぱりすごい。
最初っから最後まで、ギターの演奏が盛りだくさん!
だれがどのパートを弾いているのでしょうか??
楽しみながら想像して聴きましょう(笑)
ベースソロもありますよ!
まとめ
中学生の時に初めて聴いて40年以上経ち、その時の感動を伝えたかったんですが文章にするのって難しいですね。
改めて演奏メンバーを見たら、意外な人たちがいました。
聴いていると、当時のクロスオーバーとかフュージョンって言い始めたころの音楽がとても新鮮です。
昔だったら聴くのにCD買うか借りるかでしたが、今はサブスクとかの配信で聴けますね。
とりあえず、Amazon Music Unlimited で聴けるのを調べたので、ご紹介しておきます。
初めて申し込むときは、無料で31日間体験できます。
◆GUITAR WORKSHOP Vol.1
<Day Dream / 森園勝敏>
1977 Live at Sugino Kodo(2004):PRISM
<Left Handed Woman / 大村憲司>
First Step(1978)
Kenji-Shock(1978)
<Groovin’ >
Groovin'(ヤング・ラスカルズ)
<When a man loves a woman>
When a man loves a woman(パーシー・スレッジ)
<I’m In You>
I’m In You(ピーター・フランプトン)